看護師の夜勤手当や深夜・早朝勤務に対する法定の割増賃金の計算例

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「夜勤手当って、法律上どこまで支払われているの?」
そんな疑問を持つ看護師は少なくありません。特に、2交代制で16時間勤務した場合、法定の割増賃金はどのように計算されるのか、病院から支給される夜勤手当が本当に適正なのかは気になるところです。夜勤手当として5,000円から15,000円ぐらいを定額で支給されているケースが多いようですが、果たしてそれで法律上問題がないのでしょうか。
この記事では、時給2,000円を前提にした実際の計算例をもとに、時間外労働・深夜労働・早朝勤務それぞれに対する割増賃金のルールと金額をわかりやすく解説します。夜勤専従や仮眠時間の扱い、夜勤手当が法定基準を満たしているかどうかも含め、夜勤の賃金体系を正しく理解したい看護師必見の内容です。
夜勤の勤務時間と2交代制/3交代制の違い
夜勤には大きく分けて「2交代制」と「3交代制」があります。2交代制では日勤後に16時〜17時に出勤し、翌朝9時〜10時まで約16時間勤務となります。一方、3交代制では「日勤(8:00〜16:30)」「準夜勤(16:00〜24:30)」「深夜勤(0:00〜8:30)」と3つに分かれ、1回あたり約8時間の勤務です。
夜勤手当の相場と深夜割増賃金
夜勤手当は病院独自の支給制度ですが、法的には午後10時〜午前5時の深夜労働に対し最低25%の割増賃金が義務付けられています。相場は下表のとおり一般的です。
勤務体系 | 夜勤手当相場 |
---|---|
二交代制夜勤 | 10,000〜15,000円/回 |
三交代制準夜勤 | 3,000〜5,000円/回 |
三交代制深夜勤 | 5,000〜10,000円/回 |
労働基準法における割増賃金の基本ルール
労働基準法では、以下のような割増賃金が定められています。
労働の種類 | 割増率 | 対象となる時間帯・条件 |
---|---|---|
時間外労働(残業) | 25%以上 | 所定労働時間(通常は1日8時間)を超える時間 |
深夜労働 | 25%以上 | 午後10時〜午前5時 |
休日労働 | 35%以上 | 法定休日(週1回または4週4日)に働かせた場合 |
時間外+深夜労働 | 50%以上(25%+25%) | 時間外労働が深夜(22時~翌5時)に及ぶ場合 |
労働基準法第37条第4項
使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
二交代制の例と割増賃金の適用パターン
たとえば、以下のような勤務シフトがあったとします。
勤務時間 午後4時(16:00)〜翌朝9時(9:00)=17時間拘束(うち休憩1時間で労働時間16時間)
所定労働時間 日勤と同じ8時間と仮定(労使協定によっては週単位・月単位もあり)
このような勤務の場合・・・
8時間を超える分(=8時間)に対して→ 時間外労働として25%割増
午後10時〜翌5時の7時間分に対して→ 深夜労働として25%割増
時間外労働と深夜労働が重なる部分(例:22時〜翌1時) →合計50%の割増賃金 となります。
二交代制16時間勤務の割増賃金の計算例
つまり時給2,000円で働いているとしたら、まず時給2,000円×16時間=32,000円ですが、それと比較すると、以下のような割増の条件が当てはまります。
時間帯 | 時間数 | 割増内容 | 割増率 | 時給 | 金額 |
---|---|---|---|---|---|
16:00〜22:00 | 6時間 | 通常賃金のみ | 0% | ¥2,000 | ¥12,000 |
22:00〜24:00 | 2時間 | 深夜労働のみ | 25% | ¥2,500 | ¥5,000 |
0:00〜5:00 | 5時間 | 深夜労働 + 時間外労働 | 50% | ¥3,000 | ¥15,000 |
5:00〜9:00 | 4時間 | 時間外労働のみ | 25% | ¥2,500 | ¥10,000 |
総支給額(1回の夜勤):¥42,000
このような計算になるので、時給換算した時に2,000円という条件で働いている看護師が、二交代制で1夜勤16時間だった場合には42,000円程度になります。割増なしの場合の16時間分の報酬が32,000円なので、その差が1万円。夜勤手当として割増しした計算としてはギリギリ満たした額になりますが、時給が2,500円相当の看護師がこの条件の夜勤をした場合には、1回の夜勤手当てが1万円だと本来支給しなければならない割増賃金に満たないため違法となる可能性があります。
仮眠・休憩の取り扱いと賃金
日本看護協会のガイドラインによると、看護職の夜勤が8時間を超える場合には連続2時間以上の仮眠、16時間勤務の場合は2~3時間の仮眠が推奨されています。ただし、仮眠中であっても使用者の指示がある場合やすぐ対応できる状況では労働時間として扱われ、賃金が発生することになります。
夜勤専従は合法?労基法に抵触しないのか
夜勤専従という働き方は、法令上も認められています。勤務回数や時間帯を定めれば、週に1回の休日確保(月4日以上)も可能ですただし、法定休日の付与や過度な連続勤務を避けることが必要です。夜勤専従で約30,000円~40,000円/回の高待遇求人もあり、月10回勤務で年収650万円に届く事例もあります。
早朝・早出勤務における割増賃金
早朝や深夜にまたがる勤務には深夜割増25%のほか、時間外・休日労働の割増率(25%~50%以上)が法律で定められています。特に休日+深夜の組み合わせでは、最大60%以上の賃金アップが想定されます。これらは自動的に適用されるため、給与明細での確認が重要です。
夜勤の給与構造を理解し賢く働くために
看護師の夜勤給与は「基本給×割増賃金+病院独自の夜勤手当」で構成されます。2交代・3交代制で手当額に差があり、仮眠の取り扱いや夜勤専従の働き方も労働基準法との整合性が求められます。早朝・深夜・休日の勤務では最大60%超の割増もあり、しっかり制度を理解することで収入アップや適切な勤務設計が可能です。労働契約書や就業規則を確認し、不明点は労働基準監督署へ相談することをおすすめします。
プツっと限界が来る前に転職の情報収集を。