看護師をはじめとする医療従事者の労働環境が、過酷な実態に直面していることをご存じでしょうか。特に「無賃金の前残業」という慣習が、看護師の労働環境を悪化させる一因となっています。患者さんの命を守るために尽力する一方で、自身の権利を侵害されている現実があります。本記事では、無賃金の前残業がなぜ違法であり搾取に該当するのか、看護師が直面する具体的な問題を掘り下げ、その改善の必要性について考えます。
目次
無賃金の前残業は搾取で違法である、その根拠
無賃金の前残業は、労働基準法に違反する明確な違法行為です。労働基準法第37条では、使用者は労働者に対して時間外労働を命じた場合、割増賃金を支払わなければならないとされています。さらに、同法第24条では「賃金は全額支払わなければならない」と規定されています。
そのため、就業前の準備や会議など、実質的に業務に該当する活動が命じられている場合、たとえ「自主的」とされていても、賃金が支払われないのは違法です。
裁判所でも、無賃金残業を搾取として違法と認定し、未払いの残業代の支払いを認めた判例があります。企業側が労働者に黙示的または明示的に業務を求めた場合、それに見合った対価を支払う義務があります。無賃金で労働を強要することは、労働者の権利を侵害する行為であり、法的に厳しく制裁されるべきです。
看護師は搾取されている!
特に看護師の現場では、無賃金残業が深刻な問題となっています。看護師は医療現場で重要な役割を果たし、患者の命を守る責任を負っています。しかし、その尊い職業が搾取の温床になっている現状があります。
多くの看護師が「奉仕の精神」を強調され、自身の労働環境や権利について声を上げにくい状況に追い込まれています。その結果、過酷な労働環境が当たり前とされ、搾取が継続されています。
30分〜1時間の前残業当たり前
看護師の職場では、始業時刻前に30分から1時間程度の準備作業が常態化しています。
例えば、引き継ぎ資料の確認や患者の状態チェック、必要な医療機器の準備などが含まれます。これらの作業が業務の一環であることは明白ですが、実際には賃金が支払われないケースが多く見られます。これにより、看護師は労働時間外に無償で働くことを強いられているのです。
病棟会は休みだろうと夜勤明けだろうと出席
さらに、病棟会議や研修への参加も無賃金で行われることが珍しくありません。看護師は休暇中や夜勤明けであっても、職場の指示で会議に出席することを求められる場合があります。これらの活動が「業務の延長」であるにもかかわらず、賃金が支払われないのは重大な問題です。
奉仕の精神と教えられ患者さんファーストで行動する
看護師教育では「奉仕の精神」や「患者さんファースト」が強調されることが多く、自己犠牲が美徳とされる風潮があります。この価値観は、看護師が過重労働や無賃金残業を受け入れる要因となっています。労働者である看護師が自分の権利を守るための行動をとることが難しい状況に陥っているのです。
休憩は10分、トイレも行けず膀胱炎に
看護師の過酷な労働環境では、休憩時間が十分に確保されないことも問題です。休憩が10分程度しか取れない、あるいはトイレにも行けないことが日常的に起きています。これにより、看護師は膀胱炎などの健康問題に苦しむことになります。これは明らかに労働基準法違反であり、労働者の人権を軽視する行為です。
自分を犠牲にして患者さんに尽くして、全然人間らしい日々を過ごせない
最終的に、看護師は自分の生活や健康を犠牲にして患者に尽くす状況に追い込まれています。これは本来、医療従事者としての使命を超えた負担であり、決して許されるべきではありません。看護師が人間らしい生活を送りながら、質の高い医療を提供できる環境を整えることが、医療現場全体の改善につながります。
結論
無賃金の前残業やその他の搾取行為は看護師の人権を侵害し、違法であるだけでなく、労働者としての尊厳を踏みにじるものです。このような現状を改善するためには、労働基準法の厳格な適用と、看護師自身が権利を主張できる環境づくりが必要です。看護師の過酷な現場にメスを入れ、働きやすい職場環境を実現するための具体的な取り組みが求められています。
しかし、実際このような風習の法人は数多く存在しており、看護師1人が声を上げたとしても、もみ消されてしまったり、わがままな人間扱いされて居心地が悪くなってしまったりすることもあります。やはり働く上では賃金が支払われることがモチベーションになりますし、大切にされていると実感できるひとつの指標になります。なかなか難しい職場環境であれば転職も検討しても良い内容だと思います。転職の際には、看護師の研修動画や試験対策などを色々やっている看護roo!がおすすめです。