スピリチュアルケアとは？看護師も資格取ったりしてるけど…
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医療や看護の現場で「スピリチュアルケア」という言葉を耳にする機会が増えてきました。スピリチュアルと聞くと、なんだか宗教っぽい、スピっぽいと感じて身構えてしまう人もいるかもしれませんが、現場で働く看護師にとっては無関係ではいられない分野です。終末期や喪失、病と向き合う患者や家族が抱える“心の痛み”に寄り添うことが目的とされるスピリチュアルケア。しかし、その実態や資格制度を調べてみると、ちょっと不安になる要素も見えてきます。今回は、看護師とスピリチュアルケアの関係について、あくまで中立的な視点から解説していきます。
スピリチュアルケアとは？医療現場での意味
スピリチュアルケアとは、患者やその家族が病気や死、喪失といった人生の危機的状況に直面したときに抱える「スピリチュアルペイン（魂の痛み）」に寄り添うケアです。具体的には「自分の人生に意味はあったのか」「どうして自分がこんな目に…」といった、存在や価値、死生観に関わる深い悩みや不安に対して、傾聴や対話を通して支援を行います。
このケアは宗教的である必要はなく、「あなたの人生には意味があったと思いますよ」と寄り添うだけでも、十分なスピリチュアルケアとなります。特に終末期のケアでは、患者本人の思いや家族の感情を受け止めることが求められるため、スピリチュアルな視点の理解は、決して他人事ではありません。
あえて「スピリチュアルケア」と言わなくても、看護師はやっている
実は、看護師が日々行っている精神的サポートの多くは、結果的にスピリチュアルケアに該当します。患者の話を傾聴したり、そっと背中をさすったり、不安や孤独感に寄り添ったりする行為は、まさに“魂のケア”とも言えるものです。
そのため、「スピリチュアルケア」という言葉に過剰に反応する必要はなく、看護の本質を見つめると、自然とそのエッセンスは日常業務に含まれているのです。
資格もあるけど…日本スピリチュアルケア学会の認定制度とは？
日本スピリチュアルケア学会では、「スピリチュアルケア師」という民間資格の認定制度を設けています。一定の研修や試験を経て取得できるこの資格は、2025年時点で全国に約400人しかいないと言われており、まだまだ珍しい存在です。
ただし、公式サイトや関連の写真を見ると、医療系というよりやや宗教寄り・スピリチュアル寄りな雰囲気が漂う部分もあり、戸惑う看護師も少なくないようです。
スピリチュアルケアが「スピりすぎる」と起こる問題点
スピリチュアルケアの大前提は、「信仰を押しつけないこと」です。しかし、実際には精神的に追い詰められている患者や家族に対し、宗教的な言葉や価値観を不用意に投げかけてしまうと、信仰への依存や、スピリチュアル系の団体に引き込まれるリスクもあります。
ケアの提供者である看護師自身が、宗教や精神世界への傾倒が強くなりすぎてしまうと、客観性を保てなくなったり、医療チーム内で浮いてしまうケースもあります。スピリチュアルケアに対して警戒する声があるのは、こうした背景があるからかもしれません。
スピリチュアルケアは怪しい？それとも必要？
スピリチュアルケアそのものが怪しいわけではありません。むしろ、人間の尊厳や人生の意味を考える医療の中では、欠かせない視点です。ただ、提供の仕方を間違えると、患者の心の弱さに入り込みすぎてしまう危険があるのも事実です。
資格を取ることで視野が広がったり、学びの機会が増えることはメリットですが、あくまで「患者を支える」ための手段であり、自分の信念や思想を投影する場ではないという線引きが必要です。
スピリチュアルケアは距離感が命
看護師としてスピリチュアルケアに関心を持つことは決して悪いことではありません。しかし、相手の人生観や宗教観に安易に踏み込みすぎることは慎むべきです。医療と宗教、精神世界の境界線が曖昧になることで、患者のQOL向上どころか混乱を招いてしまうこともあります。
スピリチュアルケアは、あくまで「心に寄り添う」ためのツールであり、信じさせるものではない。そうした基本的な姿勢を忘れずに、冷静に距離感をもって取り組むことが、看護師にとっては最も健全な向き合い方かもしれません。