人間関係が限界です。

無給・強制の業務蔓延、ピリピリ・嫌味・モラハラ…。

感情が限界です。

患者の前では笑顔、トイレの中では無表情。

やりがいが限界です。

感謝もお金もいいことしてる実感もない。

シフトが限界です。

感情も体力も、明けの朝には空っぽ。

看護師、師長に嫌われたら終わりなの…?異動と退職のリアルな話

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師長に嫌われている、と感じたことはないだろうか。話しかけても返事が短い。委員会や担当業務の割り振りで、いつも自分だけ重いものを押し付けられる。何か失敗したとき、他の人より明らかに強く当たられる。「気のせいかな」と思おうとしても、毎日繰り返されると、もう気のせいでは済まされなくなる。

師長に嫌われたら、その病棟にはもういられない。そう思い込んでいる看護師は多い。今日はその思い込みの正体と、実際にどうすればいいのかを、できるだけ正直に書いていく。

看護師のパワハラ、加害者の最多は「看護部門の上司」

まず、これがどれだけ一般的な話なのかを確認しておきたい。日本医療労働組合連合会の「2022年看護職員の労働実態調査報告集」によると、看護師がパワハラを受けた相手として最も多いのが「看護部門の上司」だという結果が出ている。さらに、若い看護師ほど「看護部門の上司」と回答する割合が高い傾向も示されている。

つまり、師長や副師長といった看護部門の管理職からのパワハラは、看護師が経験するハラスメントの中でも最も典型的なパターンだということだ。「自分だけが特別に嫌われている」と感じていたとしても、実際には看護業界全体で繰り返されている構造的な問題である可能性が高い。

厚生労働省と日本医療労働組合連合会、それぞれ調査手法は異なるが、両者のデータを並べたとき、看護師の職場は「パワハラの問題が発生しやすい環境」であるという見方が成り立つ、という指摘もある。

「師長に嫌われる」とき、実際に何が起きているか

師長に嫌われている状態というのは、抽象的な「空気」だけではなく、実際に行動として表れることが多い。具体的な事例を見てみる。

ある看護師の体験談では、内科病棟3年目のときの師長について次のように振り返っている。「今日は予定があるので定時で帰りたい」と話すと、どこからか聞きつけて、2〜3時間の残業が必要な仕事を定時ギリギリに頼んでくる。また、ベテラン看護師が所属するような大変な委員会に、まだ経験の浅い段階で推薦される。さらに、誰かの文句を聞こえるように言うのが毎日の日課で、本人に対して「デブのクセにそんな所に立ってんじゃないよ、ジャマ」と、痩せている体型にもかかわらず面と向かって言われたという。

この師長は「自他共に認める、いじわるな性格」で、患者からの投書も多く、スタッフの退職率も高い病棟だったという。つまり、その看護師個人だけが標的だったわけではなく、病棟全体が機能不全に近い状態だったということだ。

師長に何か聞きに行くと、明らかに他の人と対応が違った。先輩には笑顔で答えてるのに、私には「は?」みたいな反応。最初は「私の聞き方が悪いのかな」って自分を責めてた。でも周りの同期も同じことに気づいてて、「あの師長、〇〇さんに当たりが強いよね」って言われて、気のせいじゃなかったんだと初めて確信した。

もう一つの典型例、妊娠相談で返ってきた「産むの?」

師長によるパワハラの中には、ハラスメントという言葉では片付けられない、深刻な事例も報告されている。ある看護師が看護師長に「妊娠したので今後の勤務のことで相談したいのですが」と相談したときの話だ。看護師長はこう答えたという。「産むの?」

この看護師は、翌日に辞表を出して辞めていったという。この事例を紹介した社会保険労務士の解説では、「人員不足の中で疲弊しきった看護師長が、思わず漏らしてしまったのかもしれない」とした上で、「環境が人を変えることはよくある」「職員が疲弊しきった職場やコミュニケーション不足の職場では、パワハラが当たり前のように発生する」と指摘している。

この話で大事なのは、「師長個人が極悪な人間だから」という話だけでは終わらないということだ。師長自身も、現場の人手不足とプレッシャーの中で疲弊している。だからといって、その疲弊をぶつけられた側が我慢する理由にはならない。「環境がそうさせている」という構造を理解することは、自分を守るための視点にもなる。

「指導」と「パワハラ」の境界線が曖昧なまま運用されている

師長との関係で苦しんでいる人がさらに苦しくなる理由のひとつが、「これは指導なのか、パワハラなのか」という線引きがあいまいなことだ。

看護師という仕事はミスが許されない側面が強く、教育や指導に熱が入りやすい職業だと言われる。人によって指導方針が違って振り回されたり、強い言葉で叱責されることで心が萎縮してしまうケースもある。同じ言動でも、「指導を受けたと感じる職員」もいれば「パワハラだ」と感じる職員もいる、という難しさが指摘されている。

この曖昧さを利用するような形で、「これは指導だから」という言葉で片付けられてしまうことがある。何度も人前で叱責される、業務に関係のない人格否定をされる、他の人とは明らかに異なる対応をされる——これらが繰り返される場合、それは指導の範囲を超えている可能性が高い。

申し送りのとき、私のミスだけ大きな声で全員の前で指摘された。同じようなミスを他のスタッフがしたときは、後でこっそり個別に注意してた。「指導」って言うなら、その差は何なんだろうって思った。

師長に嫌われたら、本当に「終わり」なのか

師長に嫌われていると感じたとき、看護師が選べる道は大きく3つある。

①その師長との関係改善を試みる

記録を残し、冷静に話し合いの場を持つという方法がある。実際に、パワハラ発言を録音し、看護部長に報告した上で「これ以上のことがあれば労働基準監督署に報告する」と伝えたところ、その後の師長の言動が変わったという例も報告されている。

ただし、この方法には大きな心理的負担がかかる。録音や報告という行動自体が、すでに相当のエネルギーを消耗させるものだ。「それができるくらいなら、最初から悩んでいない」という人も多いはずだ。

②師長やチームリーダー、看護部長への相談

師長との関係に悩んだ場合、さらに上の立場であるチームリーダーや看護部長に相談することも、事態の改善のために有効とされている。証拠や記録を残しておくことが、後々パワハラの事実を証明する際にも役立つ。

ただし、相談しても「その師長をかばう」形で終わってしまう病院も、現実には存在する。組織として機能しているかどうかは、病院ごとに大きく異なる。

③異動願いを出す

同じ病院内であれば、異動という選択肢がある。師長との関係が原因であることを伝えれば、配置を見直してもらえる可能性がある。ただし、異動先の師長がどんな人かは事前にはわからない。「次の師長も同じような人だったら」という不安が、異動を躊躇させる理由にもなる。

④転職という選択

パワハラを受けたまま働き続けることで体調を崩し、結果的に転職や退職につながるケースは多く報告されている。「自分が悪いんじゃないか」と何年も考え続けた末に、ようやく転職を決める人もいる。

3年間、師長のパワハラに耐えた。でも結局、私が辞めても師長は変わらなかった。後で聞いたら、私の後にも何人も同じ理由で辞めていったらしい。あの3年間、私が我慢する必要なんてなかったんだと、今は思う。

転職するなら「師長の人柄」まで含めて選べることもある

転職を選んだ場合、次の職場の師長がどんな人かは、入職前にはわかりにくい。ただ、転職エージェントを使う場合、職場の内情を教えてもらえたり、病院見学を手配してもらえたりするケースがある。

実際に、パワハラ上司から逃れるために転職した看護師の体験では、転職サイトの担当者から職場の内情を教えてもらい、病院見学も手配してもらった上で「この師長なら大丈夫」という病棟を選んだという。結果として、新しい師長は「厳しいながらも公平で、世話焼きで、スタッフを育ててくれるような人」だったという。こういう師長のいる職場では、ステーション全体の雰囲気も良く、上下関係なくスタッフ同士の関係も良好だったそうだ。

これは、「師長との相性」が、運だけで決まるものではないということを示している。情報をきちんと取りに行くことで、ある程度は避けられる部分がある。

「自分のせい」ではなく「この師長との組み合わせの問題」

師長に嫌われていると感じたとき、多くの人は「自分に何か問題があるのかもしれない」と考えてしまう。でも、これまで見てきたように、看護部門の上司からのパワハラは、看護業界において最も典型的なパターンとして報告されている。あなただけが特別に何か悪いことをした、という話ではない可能性が高い。

また、同じ言動を「指導」と感じる人もいれば「パワハラ」と感じる人もいる、という現実がある以上、「その師長とあなたの組み合わせ」が、たまたま噛み合わなかったというだけのこともある。

「師長に嫌われたら終わり」という感覚は、その病棟、その師長との関係に限った話でしかない。病院も師長も、無数にある。

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