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態度が悪いとクレーム言われる看護師、それって本当に私のせいなの

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「あの看護師、態度悪いよね」。その一言が、師長の耳に入る。事情を聞かれる。「次は気をつけて」と言われる。でも、現場にいた自分は知っている。あのとき何を言われ、何をされたか。説明しても、「でもクレームが来たのは事実だから」で終わる。

このやり取り、経験したことのある看護師はかなり多いんじゃないかと思う。今日はこの「態度が悪い」というクレームの裏側を、データも交えながら正直に書いてみる。

クレームを受けたことがある看護師は半数以上

まず数字で確認しておきたい。マイナビが2025年に実施した調査では、看護師の54.1%が患者やその家族からのカスタマーハラスメント(ペイシェントハラスメント)を受けた経験があると回答している。受けた経験だけでなく「見聞きした経験がある」まで含めると68.6%にのぼる。

さらに日本医療労働組合連合会の2022年調査では、75.2%の看護師が患者さんやご家族からのクレームにストレスを感じているという結果も出ている。経験年数が長くなるほど、そのストレスを強く感じる傾向があるという。

つまり「態度が悪い」と言われた経験があるのは、決して珍しいことではない。むしろ、看護師として一定期間働けば、誰でも一度は経験する出来事に近い。

「態度が悪い」と言われる場面、実際どんなことが起きているか

クレームの内容を具体的に見ていくと、こちらが本当に何か悪いことをしたのか、疑問に思うケースが多い。

  • 説明や指導をしていただけなのに「言い方が悪い」と怒鳴られる
  • 処置中に暴言を浴び、冷静に対応したことを「冷たい態度」と評価される
  • 身体的な攻撃(叩く、つかむ、引っかく)を受けても、防御行動を「乱暴な対応」と取られる
  • 個人情報を伝えられないと説明したことに対して「不親切」とクレームになる
  • 「看護師ごときが」という人格否定の言葉を受けながら、平静を装ったことが「無表情で態度が悪い」とされる

実際に、術後せん妄の患者さんから暴力を受け、複数人で対応せざるを得なかったというエピソードも報告されている。殴られたり、引っかかれたり、強くつかまれたりして痣ができることが「日常的」だったという声もある。そこまでの状況の中で、なお「態度」を評価されること自体に、構造的なおかしさがある。

夜中に何度もナースコールを押されて、対応するたびに怒鳴られた。最後はもう疲れて、表情を作る余裕もなくなってた。それを家族が「事務的で冷たい」って師長に言ったらしい。何時間も同じ対応を繰り返した後の、最後の数分だけを見て判断されたんだなと思った。

なぜ看護師は「自分が悪い」と思いやすいのか

カスハラに関する調査・解説では、看護師という職業の特性として「患者さんのために尽くす」という高い倫理観が背景にあると指摘されている。その責任感の強さから、理不尽な要求に対しても「自分が我慢すれば良い」「これも看護の一部かもしれない」と一人で抱え込んでしまいがちだという。

この「抱え込みやすさ」が、クレームを受けたときの反応にも表れる。「クレームが来た=自分の対応に問題があった」と、ほぼ自動的に変換してしまう。実際には、相手の言動が明らかに理不尽でも、まず自分の振り返りから入る。

その結果、クレームをきっかけに退職を促されたという声も実際に存在する。クレームの内容が検証されることなく、「クレームがあった」という事実だけが先に立ち、対応した看護師の側に説明責任が一方的に課される構造がある。

クレーム対応の振り返りミーティングで、相手が何を言ったか、何をしたかは誰も聞いてくれなかった。「どう対応すればよかったか」だけを聞かれて、まるで私のやり方が間違っていたみたいな空気になった。あのとき、誰も私を守ってくれないんだなと思った。

「クレーム=態度の問題」にされやすい職場の構造

なぜこうなるのか。理由のひとつは、医療機関側が「クレームを受けた職員のモチベーション低下が医療サービスの質にも影響する」という視点を持てていないことだ。本来、従業員を守る体制を整えることが医療の質を保つことに直結するはずなのに、「患者対応がすべて」という価値観が前に出すぎている職場では、クレームを受けた側が孤立しやすい。

また、病院経営として「クレームを大きくしたくない」という事情もある。患者や家族との関係がこじれることを避けるために、職員側に矛先が向きやすい。結果として、理不尽なクレームを受けた看護師が、何の検証もされずに「態度を改めるように」と言われる。

暴力やハラスメントは「我慢するもの」じめない

身体的な攻撃を受けても、それを「患者さんの病状のせい」として処理し、対応した看護師のメンタルケアが後回しにされることがある。最近では訪問看護の現場で、利用者から看護師が切りつけられる事件も発生し、業界団体が緊急アンケートを実施するに至った。

こうした流れを受けて、医療現場でもペイシェントハラスメントへの対策やマニュアル整備が進みつつある。ただ、現場で実際にそれが機能しているかどうかは、職場によって大きな差がある。「うちの病院は何も変わらない」と感じている人は、決して少なくないはずだ。

「態度が悪い」と言われ続ける環境にいる必要はない

理不尽なクレームを受けても、それを正しく扱ってもらえない。検証もされず、「気をつけて」で終わる。そんな環境に長くいると、自分の感覚がどんどん麻痺していく。

  • クレームを受けたとき、まず職場が自分の話をきちんと聞いてくれるか
  • 理不尽な要求や暴言・暴力に対して、毅然とした対応をする仕組みがあるか
  • クレーム対応の結果、職員が一方的に責められる構造になっていないか

この3つに「いいえ」が並ぶ職場で働き続けることは、自分の心をすり減らし続けることと同じだ。「態度が悪い」と言われるたびに自分を責めてきたなら、その積み重ねがどれだけ重いか、想像してみてほしい。

転職してから、クレーム対応の場面で初めて「大丈夫だった?」って先輩に聞かれた。それだけのことなのに、ちゃんと自分のことを見てくれる職場があるんだと、ようやく実感した。

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