看護師を辞めたいけど奨学金が残っている、どうすればいい

「辞めたい」という気持ちは本物なのに、奨学金という言葉が頭をよぎるたびに、その気持ちを押し込めてしまう。病院奨学金を借りて就職した看護師にとって、これは本当によくある話だ。奨学金が「鎖」になって、身動きが取れなくなっている感覚。今日はそこを正直に整理してみる。
結論から書くと、奨学金があっても辞めることはできる。ただし、知っておかないと損をする話がいくつかある。
病院奨学金(お礼奉公)の仕組みをおさらいする
病院奨学金とは、看護学生時代に病院から学費の一部を援助してもらい、卒業後にその病院で一定期間働くことで返済が免除される制度だ。「お礼奉公」とも呼ばれる。免除の条件として多いのは、借りた期間と同じ年数、または3〜4年間、その病院に勤務すること。専門学校の2〜3年分を借りていれば、2〜3年の勤務義務が生じる病院が多い。
仕組みとしては理にかなっているように見える。でも問題は、学生のときに「合わなかったら返せばいい」と軽く考えて契約したのに、いざ現場に入ってみたら「こんなはずじゃなかった」となるケースがあまりにも多いことだ。
奨学金を借りるとき、正直どんな病院かよくわかってなかった。とにかく学費が出るってことが大きくて。でも入って1年で「あ、無理だ」ってなった。お礼奉公があと2年残ってて、その2年がとにかく長かった。
途中で辞めたら奨学金はどうなるのか
お礼奉公期間の途中で退職すると、基本的には残りの期間分の奨学金を返済する義務が生じる。ただし返済方法は病院によって異なり、以下のパターンがある。
たとえば月5万円×36ヶ月=180万円を借りていて、2年で退職した場合、残り1年分の60万円+利息を返す計算になる。一括返済を求められたとき、「そんなお金ない」と感じる人も多い。ただ、「即、一括返済」だけが選択肢ではない。分割払いの交渉ができる余地がある病院も実際にある。まず契約書を確認し、担当者に相談することが先決だ。
「辞めさせてもらえない」は法律上ありえない
ここは重要なので押さえておいてほしい。
日本国憲法第22条には「職業選択の自由」が定められており、お礼奉公期間中であっても、看護師は退職する権利を持っている。労働基準法第5条は強制労働を禁止しており、「奨学金があるから辞められない」と事実上の強制が続く状態は、法的に問題になりうる。
病院側が「辞めるなら損害賠償を請求する」と言うケースもあるが、奨学金の返済義務と損害賠償は別の話だ。不当な損害賠償請求には応じる必要はない。
実際に退職の意思を伝えた際にトラブルになるケースもあるため、話し合いが難航するようであれば、以下の相談先を使うことができる。
奨学金があっても転職した看護師の現実
「奨学金を返してでも辞めてよかった」という声は、実際に多い。返済額がどれくらいになるのかを冷静に計算して、それでも今の職場を続けることのコスト(心身の消耗、時間、機会損失)と比べたとき、返済を選ぶ人がいる。
残り1年分、約60万円の返済が必要だった。大きい金額だと思ってたけど、毎月少しずつ返済できたし、転職先の給料が上がって半年で元が取れた。あのまま2年耐えてたら、もっと消耗してたと思う。
また、転職先の病院が奨学金の肩代わりをしてくれる「入職一時金」や「就職支援金」を提供しているケースもある。転職エージェントに相談すると、そういった条件の求人を探してもらえることがある。
「あと○年の辛抱」と思えるなら、それもひとつの選択肢
お礼奉公の残りが半年や1年以内であれば、退職よりも完走するほうが経済的にも精神的にも楽になることもある。ただし「あと○年」が今の自分に本当に耐えられるかどうかは、正直に考えてほしい。
奨学金の残期間が長く、かつ今の職場が心身を削り続けているなら、「もう少しだけ」を繰り返すことのほうがむしろリスクになる。適応障害やうつ状態になってから退職するケースも、残念ながら少なくない。
「あと1年半」って思って耐えてたけど、気づいたら眠れなくなってた。身体が先に限界を出してしまって、結局休職してから退職になった。もっと早く動けばよかった、と今は思う。
まず「返済額がいくらか」だけ確認しよう
何かを決める前に、まず数字を把握することが最初の一歩だ。
「奨学金があるから転職できない」ではなく「奨学金がある中でどう動くか」に視点を切り替えると、選択肢が見えてくる。
看護roo!は登録無料。奨学金の返済を見越した給与条件の求人、入職支援金のある求人なども担当者に相談しながら探すことができる。「奨学金が残っているけど転職できますか」という相談から始めてもいい。
