看護師1年目で辞めたい、それでも続けるべきか正直に答えます

看護師1年目で「もう辞めたい」と思っているあなたへ。その気持ち、決しておかしくないです。国家資格を取ってやっと現場に立ったのに、想像と全然違う。覚えることが多すぎる。先輩の目が怖い。ミスが怖い。夜勤が怖い。「こんなはずじゃなかった」という気持ちで毎日が終わっている――そういう看護師が今もたくさんいます。

この記事では、1年目で辞めたいと感じているときに知っておいてほしいことを、正直に書いていきます。「続けるべきか辞めるべきか」の判断軸も整理します。

1年目で辞めたいと感じるのは、あなただけではありません

厚生労働省「令和4年度 新卒看護職員の早期離職等実態調査」によると、新卒看護師のうち就職後1年以内に離職した割合は約7.5%です。一方で「辞めたいと思ったことがある」と回答した1年目看護師は過半数を超えるという調査もあります。つまり「辞めたい」と感じていても辞めていない人が圧倒的に多く、あなたは特別ではないということです。

1年目がつらい理由のひとつは、「リアリティショック」と呼ばれる現象です。学生のときに想像していた看護と、実際の現場での看護のギャップから来るストレスで、ほぼすべての新人看護師が程度の差はあれ経験します。「私だけがつらいのかも」と思いやすい時期ですが、周囲も同じように感じていることが多いです。

「1年目の夏、毎朝シャワーを浴びながら泣いていました。でも同期に話したら全員同じだと言ってびっくりしました。それだけで少し楽になって、なんとか続けられました」(20代女性・回復期リハビリ病棟)

1年目で辞めるべきケースと、続けるべきケース

「辞めたい」と思う理由によって、続けるべきかどうかの判断が変わってきます。「仕事が大変で疲れている」「覚えることが多くてついていけない気がする」という理由であれば、多くの場合は2年目以降に改善することが多いです。1年目の後半から「少し慣れてきた」と感じる看護師が多いのは事実です。

一方で、体や心に明確な症状が出ている場合は別です。不眠・食欲低下・職場のことを考えるだけで体が動かなくなる・涙が止まらないという状態が続いているなら、それは消耗のサインです。このような状態で無理に続けることは、回復を遅らせることがあります。

日本看護協会「2023年 病院看護・助産実態調査」によると、新卒看護師の離職理由のうち「精神的健康問題」「職場の人間関係」「仕事内容が合わなかった」が上位3位を占めている。仕事の難しさより、環境・関係性・健康への影響が離職の引き金になることが多い。

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1年目で転職することは不利になるか

「1年目で辞めると転職に不利」という声をよく聞きます。これは半分本当で、半分は思い込みです。確かに「1年未満で辞めた理由」を面接で聞かれることはほぼ確実です。しかし、理由がパワハラ・いじめ・健康上の問題・職場との明確なミスマッチであれば、理解してもらえる可能性は十分あります。

転職エージェントに相談すると、「1年目での転職でも紹介できる求人がある」と教えてもらえることが多いです。特に看護師は有効求人倍率が2倍超の売り手市場なので、1年目であっても選択肢がゼロになることはありません。

2年目になるとまた別のしんどさが来るという話については、看護師2年目がいちばんしんどいと感じる理由にまとめています。やりがいを感じられなくなってきた方は、看護師としてのやりがいが限界になったと感じた話も参考にしてください。燃え尽き感が強くなってきている方には、看護師のバーンアウトから立ち直った話もあわせてご覧ください。

1年目看護師が感じやすい「あるある」を整理します

1年目看護師が「辞めたい」と感じる場面には共通するパターンがあります。「先輩の指導が怖い・怒鳴られた」「ミスをしてしまって立ち直れない」「業務の多さに圧倒されて覚えられない」「夜勤が怖い」「自分だけ仕事が遅い気がする」――これらはほぼすべての新人看護師が経験する「あるある」です。

特に多いのが、「先輩に比べて自分がひどく劣っている気がする」という感覚です。でも先輩もかつて同じ1年目だったことがあり、その頃の記憶が薄れているだけです。1年目の仕事の覚え方・時間のかかり方は個人差が大きく、「遅い」ことは「できない」こととは違います。

「1年目の秋、インシデントを続けて起こして本当に辞めようと思いました。師長に『向いていないかも』と言いかけたら、『1年目のインシデントは成長痛みたいなものよ』と言われて。その言葉がなかったら続けていなかったかもしれません」(20代女性・小児科病棟)

「もう少し続けてみる」ための心構え

「辞めるべきか続けるべきか」の判断が難しいとき、まず「体と心に明確な症状が出ているか」を確認することをおすすめします。不眠・食欲低下・職場のことを考えると体が動かない・涙が止まらないといった症状が続いているなら、それは「もう少し頑張れば慣れる」という段階を超えている可能性があります。

一方で、「しんどいけど体は動く」「職場以外のことは楽しめる」という状態なら、もう少し続ける余地があるかもしれません。1年目の後半から「少し慣れてきた」「以前よりこなせるようになった」という感覚が生まれることは多く、その変化を経験してから判断することも選択肢のひとつです。

1年目で転職活動を始めるとしたらどう動くか

1年目で転職を考えているなら、まずエージェントに相談することをおすすめします。「1年目でも大丈夫か」という不安をエージェントに正直に話すと、1年目での転職を受け入れる施設の実態を教えてもらえます。転職を決めることなく、情報を集めるだけのために使っても構いません。

転職活動と「もう少し続ける」という選択肢は、同時に進めることができます。転職活動を始めながら「やっぱり続ける」と決めてもいいし、「良い職場が見つかった」と確信してから辞める判断をしてもいいです。今の職場への縛りを少し緩めて、選択肢を広げることが、1年目の自分を守る行動につながります。

1年目で辞めることのデメリットを正直に書きます

1年目で転職することにはデメリットもあります。正直に書いておきます。

まず「求人の幅が狭まる」という現実があります。1年未満での転職は、急性期病院・大学病院など経験を重視する施設では採用されにくくなることがあります。クリニック・施設系・訪問看護など経験の浅い方も採用している職場は多いですが、自分が目指すキャリアによっては選択肢が限られることを知っておいてください。

また「1年目での転職は社会的に見てどうなのか」という気持ちを持つ方もいます。でも実際には、看護師の1年目離職は珍しいことではなく、採用担当者も「1年目での転職イコール問題あり」という見方をする施設ばかりではありません。「なぜ1年目で転職したのか」を面接で誠実に説明できるなら、不利になる場面は思ったより少ないです。

日本看護協会「2022年 看護職員実態調査」によると、新卒看護師の1年以内離職率は約10%前後で推移している。全国で約1万人以上が毎年1年目で離職していることになり、決して特殊なケースではない。転職市場でも1年目転職は一定の需要があることが示されている。

「続けるか辞めるか」を決める前にやっておきたいこと

「続けるか辞めるか」を決める前にひとつお勧めしたいのが、「休む」という選択肢です。有給休暇を使って数日休んだり、連休を意識して取ったりするだけで、視野が広がって判断が変わることがあります。消耗している状態での判断は、どうしても「逃げたい」方向に偏りやすくなります。

休んでも気持ちが戻らない・職場のことを考えると休めているはずなのに体に症状が出る、という状態なら、それは体と心が「もう限界」と言っているサインかもしれません。そのサインを大切にして、転職活動を始めることは「逃げ」ではなく「自分を守る選択」です。1年目でも、自分の判断を信頼してください。

1年目看護師のメンタルヘルスを守るために知っておきたいこと

1年目看護師のメンタルヘルスへのリスクは、実際のデータでも示されています。新人看護師は「適応障害」「うつ状態」を発症するリスクが高い時期であり、医療機関でも入職後のメンタルサポート体制の整備が課題になっています。

「最近眠れていない」「食欲がない」「職場のことを考えると体が動かない」「涙が出ることが増えた」「楽しいと感じることが減った」という症状が2週間以上続いている場合は、うつ状態のサインである可能性があります。この状態を「根性が足りない」「甘えだ」と片付けず、まず医療機関(精神科・心療内科・かかりつけ医)に相談することをおすすめします。

多くの職場では、産業医への相談や、メンタルヘルス相談窓口が利用できます。「先輩に言ったら弱いと思われる」という不安がある場合は、職場外の匿名相談窓口(よりそいホットライン・いのちの電話など)を活用することも選択肢です。一人で抱え込まないことが最も大切です。

1年目という時期は、看護師としての基礎を作る時期であると同時に、最もメンタルが揺れやすい時期でもあります。「続けること」も大切ですが、「自分の健康を守ること」はもっと大切です。体と心の状態を最優先にした選択をしてください。あなたが看護師を続けていける状態でいることが、患者さんのためにも、あなた自身のためにも必要なことです。

1年目看護師が転職エージェントを使うときのポイント

1年目で転職を考えている方が転職エージェントを使う際のポイントをまとめます。まず「1年目であることを正直に伝えること」が重要です。1年目での転職に対応している求人は存在しますが、すべての求人が対象というわけではありません。エージェントに1年目であることを最初に伝えることで、該当する求人を絞り込んでもらえます。

また「転職を急いでいるのか、じっくり選びたいのか」という温度感も正直に伝えることが大切です。「まず情報収集だけしたい」という段階でも、エージェントは対応してくれます。「相談したら必ず転職しなければいけない」ということはなく、情報収集のために利用することは全く問題ありません。

1年目での転職は「少し勇気が要る」感覚があるかもしれませんが、自分の体と心を守るための選択として、転職は有効な手段のひとつです。「1年目で辞めることへの罪悪感」より「自分の健康を守ること」を優先してください。看護師の仕事は長く続けることに価値がありますが、そのためには「続けられる環境」が必要です。あなたに合った環境は、今の職場でなくてもいいのです。

1年目だから、という理由だけで自分の感覚を信じられなくなることは避けてほしいです。「しんどい」という感覚は、あなたの正直な体と心の声です。その声を大切にして、必要な行動を取ってください。2年目看護師の仕事のしんどさについては、2年目看護師がしんどいと感じるときもあわせてご覧ください。やりがいを感じられなくなってきた方は、やりがいを感じられなくなった看護師の話も参考にしてください。

バーンアウトしてしまう前に動いてほしいです。1年目で限界なら、バーンアウトになる前に次の手を打つことが大切です。看護師のバーンアウトから立ち直った話も読んでみてください。

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