認知症の看護計画|看護目標・OP・TP・EPの文例集【中核症状・BPSD・疾患型別】

認知症の看護計画の文例集です。看護目標(長期目標・短期目標)とOP(観察計画)・TP(援助計画)・EP(教育計画)を、中核症状・BPSD(行動・心理症状)・生活支援の視点でまとめました。
アルツハイマー型・レビー小体型・血管性など疾患型別のポイントも解説します。在宅(訪問看護)・高齢者施設・病棟の場面を想定しています。
認知症の看護問題の捉え方(中核症状とBPSD)
認知症の看護計画は、症状を2つの層で捉えると整理しやすくなります。
・中核症状
記憶障害・見当識障害・実行機能障害・失語・失認など、脳の障害から直接生じる症状。「治す」対象ではなく、症状があっても安全・安心に生活できる環境と関わりを整えることが計画の軸になります
・BPSD(行動・心理症状)
不安・焦燥・徘徊・介護拒否・幻覚・妄想・昼夜逆転など。背景要因(身体不調・環境変化・不適切なケア・孤独感)があって生じるため、行動を抑えるのではなく要因のアセスメントと除去を計画します
「認知症だから仕方ない」と一括りにせず、その行動の理由・きっかけを観察で特定していくことが、認知症看護の計画立案の出発点です。
認知症の看護目標(長期目標・短期目標)の文例
認知症の看護目標は「症状の消失」ではなく、「本人の安心・安全・その人らしさが保たれる状態」を目標にします。
| 場面 | 長期目標の例 | 短期目標の例 |
|---|---|---|
| 生活全般 | 残存機能を活かしながら、安全で本人のペースが尊重された生活が送れる | 日課・環境を一定に保つことで、混乱する場面が減少する |
| 不安・焦燥 | 不安が緩和され、穏やかに過ごせる時間が増える | 不安の訴えやそわそわした様子がみられた際、なじみの職員の声かけで落ち着くことができる |
| 徘徊・帰宅願望 | 行動の背景要因が緩和され、事故なく安全に過ごせる | 夕方の帰宅願望の時間帯に役割・活動を取り入れ、落ち着いて過ごせる日が増える |
| 介護拒否 | 本人が受け入れられる方法でケアが継続できる | 入浴拒否時に時間・声かけ・担当者を変えた再アプローチで、週○回の入浴ができる |
| 身体合併症 | 体調変化が早期に発見され、重篤化せずに過ごせる | 本人が症状をうまく訴えられない前提で、食事量・表情・行動の変化から体調変化に気づくことができる |
認知症の看護計画(OP・TP・EP)
OP(観察計画)
・認知機能の状態(記憶・見当識・理解力・会話の様子)と変化
・BPSDの内容・頻度・出現する時間帯・きっかけ(何の前後で起こるか)
・体調変化のサイン(食事量・水分量・排泄・睡眠・表情・活動量)※本人からの訴えに頼らない
・服薬状況と薬剤の影響(過鎮静・ふらつき・症状の変化)
・生活環境の変化(入院・引越し・家族状況・担当者の交代)
TP(援助計画)
・声かけは正面から、ゆっくり・短く・一つずつ伝える
・本人の訴え・世界観を否定せず、感情に焦点を当てて対応する(例:幻視・妄想は事実の訂正より不安の緩和を優先)
・日課・環境・関わる人をできるだけ一定に保ち、なじみの関係をつくる
・カレンダー・時計・表札など見当識を補う環境調整を行う
・本人ができること(役割)を生活に組み込み、残存機能を維持する
・BPSDの背景要因(便秘・痛み・空腹・退屈・騒音など)を確認し、取り除く
EP(教育計画)
・家族へ認知症の症状と対応の基本(否定しない・議論しない・安心を優先)を説明する
・介護負担が大きい家族には、レスパイトサービスの利用や相談窓口を案内する
・関わる職種間(介護職・ケアマネ・デイ職員)で対応方法を統一できるよう情報共有する
疾患型別の看護のポイント
アルツハイマー型認知症
記憶障害が中心で緩やかに進行します。取り繕い・同じ質問の繰り返しが特徴的です。
「さっきも言いました」という対応は不安と自尊心の低下を招くため、毎回初めてのように答える関わりを計画に明記し、チームで統一します。進行に応じて計画の見直しを行い、できることの変化を評価します。
参考:アルツハイマー型認知症の原因・特徴・進行過程、介護看護をどう計画する?
レビー小体型認知症
幻視・症状の変動・パーキンソン症状・転倒しやすさが特徴です。幻視は本人には現実に見えているため、否定せず安心できる声かけを行います。抗精神病薬への過敏性があるため、服薬後の状態観察を強化します。
転倒予防の計画(環境調整・移動時の見守り)を必ずセットで立てます。
参考:レビー⼩体型認知症の原因や症状、幻視やレム睡眠行動障害など大変な状態の介護対応
血管性認知症
障害される機能とされない機能が混在する「まだら認知症」が特徴で、できないことを一律に介助すると残存機能を損ないます。感情失禁(泣きやすい・怒りやすい)には、落ち着ける環境と時間を確保します。
再発予防(血圧管理・服薬・生活習慣)の観察を計画に含めます。
参考:脳血管性認知症の特徴と介護対応|原因・症状・アルツハイマー型との違いを解説
在宅・施設での認知症看護のポイント
・在宅(訪問看護)
本人だけでなく家族の疲弊・抱え込みの観察が重要です。訪問時の様子だけで判断せず、家族・ヘルパー・デイサービスからの情報を集めて全体像を把握します
・施設
環境変化(入所・部屋替え)の直後はBPSDが出やすい時期です。入所前の生活習慣・好みの情報収集と、なじみの物の持ち込みなど移行期の計画を立てます
・多職種連携
対応方法がバラバラだと本人の混乱が増します。効果のあった声かけ・対応をケアマネジャー経由で全サービスと共有しましょう
ケアマネジャー向けの認知症のケアプラン文例(疾患型別・BPSD場面別)は認知症のケアプラン文例|ニーズ・長期目標・短期目標の例文集にまとめています。
